「押えて流す手法なんて、もう過去のものだ。時代は大きく変わっているんだ」という声が聞こえてきます。そして「内容が形を決めるんだ」「内容がないからレイアウトでゴマかそうとしてるんだ」として、レイアウトが軽視される傾向や「泥くささ」と「読みにくさ」が混同される傾向もありました。 たしかに、「内容が形を決める」ものですが、いまの時代の読者の感覚にマッチしたレイアウト、読みやすさを第一に追求したレイアウトをもっと重視する必要があります。そのためにも、日本の新聞編集のながい歴史のなかで生みだされ、定着している新聞の紙面レイアウトの技法を学んだうえで、これを出発点にして「新しい型の新聞」を生みだしていこうという声が、再び大きくなってきています。
最近、横書の文章がひろく普及してきていますが、新聞はまだまだ縦書が主流です。縦書の日本語の文章は、上から下へ、右から左へと行をかえて読んでいく「きまり」になっています。読者の視線も習慣的に、このように流れるため、紙面の上では「右から左さがりの対角線」上が一番めだち、この対角線外=つまり、紙面の左上と右下は《死角》といってめだちにくい場所です。 日本の新聞編集のながい歴史のなかで生みだされ、定着している紙面レイアウトの〈定石〉とは、この「死角」に《カコミ》《タタミ》などの「ハコもの」、写真・イラストを配置して、「死角」を生かし、右上から左下の対角線上に見出しが配置できるよう考えながら記事を流していき、最も重要な記事、読ませたい記事を、そのつぎに配置して左下でまとめる…という流しかたです。 読者は、必ずしもトップ記事から順に読んでくれるとは限りません。どの記事から読みはじめても、その記事の流れは自然であり読者を迷わすことなく導いていかねばならないのです。「ハコもの」や写真、毎号連載しているものを、それぞれの位置と形・大きさをきめて固定した間を、右から左へ、上から下へと、見出しを配置しながら、水が流れるように記事を流していくのです。これを「押えて流す手法」といい、これが紙面の〈定石〉=基本となっています。